young-mayors-award-ceremony-featured-image米日財団「若手首長賞」の第1回受賞者である岐阜県美濃加茂市の藤井浩人市長は、2026年8月1日から4日にかけて、副賞として設定された米国視察のため、アイオワ州ダビューク市を訪問しました。持続可能なまちづくりを担う各部門の担当者や地域リーダーとの幅広い意見交換を通じ、今後の美濃加茂市政に活かせる多くの知見を得ました。

視察先にダビューク市を選んだ理由

藤井市長がダビューク市を訪問先に選んだ背景には、両市の数多くの共通点があります。人口規模(ダビューク市約5万9,000人、美濃加茂市約5万7,000人)や総面積(約83km²と約75km²)は近く、ミシシッピ川と木曽川という大河川に沿って発展してきた歴史にも重なるものがあります。加えて、1980年代前半の農業不況(ファーム・クライシス)によりアイオワ州内最悪水準の失業率を記録し、人口の約1割を失う深刻な危機から、長期的な政策ビジョンのもとで再生を果たしたダビューク市の軌跡は、人口減少や産業構造の転換という共通課題に直面する美濃加茂市にとって、特に示唆に富む事例でした。

「サステナブル・ダビューク」 一貫した政策フレームワーク

fujii-dubuque-visit-1視察の中心となったのは、ダビューク市が20年以上にわたり推進する「サステナブル・ダビューク」構想です。コミュニティデザイン、スマートエネルギー、資源管理、健全な地域経済、グリーンビルディング、食の健全化など複数の原則で構成されるこの政策フレームワークは、市長や政治体制が変わっても最優先政策として一貫して維持されており、全米市民リーグ主催の「オールアメリカ・シティ賞」受賞にも結びついています。理念と助成金プログラムの交付条件が明確に結びつくこの構造は、藤井市長が美濃加茂市の政策立案において特に参考にしたい点として挙げるものです。(写真:サステナビリティ局長 ジーナ・ベル氏(右隣)のほか関係者)

ビー・ブランチ流域洪水対策 治水と市民参加の融合

fujii-dubuque-visit-2ビー・ブランチ流域洪水対策プログラムの視察では、かつて繰り返し深刻な浸水被害をもたらしていた地下雨水管を地上の開渠と緑地へと転換した大規模インフラ整備の取り組みを学びました。約90軒の住宅移転を伴うこの事業は、住民参加の市民諮問委員会での丁寧な合意形成を経て実現したものであり、「500年に一度の洪水」に耐えられる設計水準を目標として整備されています。地形的課題を抱えながら持続可能な治水インフラを整備したダビューク市の経験は、木曽川と隣り合う美濃加茂市にとっても多くの示唆を与えるものでした。

スマートシティ デジタルと都市政策の統合

fujii-dubuque-visit-3「スマーター・サステナブル・ダビューク」STREETSプログラムのもとで整備が進む交通管理システムも視察しました。市内に張り巡らされた通信インフラを活用したリアルタイムの交通状況把握・異常検知の仕組みや、電動自転車の普及に合わせた歩行者・自転車インフラの整備、中心市街地における駐車場の政策ツールとしての活用など、デジタル技術と都市政策を統合する先進的な取り組みを確認しました。(写真:交通サービス局長 ライアン・ナッキー氏(左端)のほか関係者)

自然と子どもをつなぐまちづくり

fujii-dubuque-visit-4ワンダーウッド・ガーデンズでは、市有地に在来種を中心に植栽し、乳幼児が自由に体を動かし自然と触れ合える環境を提供する取り組みを視察しました。自然の中での体験が子どもの心身発達に与える効果を重視するこの施設の発想は、美濃加茂市が取り組む里山を活かしたまちづくりの方向性とも通じるものがあります。また、食料品店へのアクセスが乏しい地域(フードデザート)の解消を兼ねた市有地のコミュニティ果樹園整備など、自然と市民をつなぐ政策も、今後の参考にしたい取り組みとして藤井市長は挙げています。

コミュニティ財団 市民社会を支えるインフラ

fujii-dubuque-visit-5日米リーダーシップ・プログラム(USJLP)の1年目デリゲート(2026, 2027)でもある藤井市長は、USJLPのネットワークを通じて「グレーター・ダビューク・コミュニティ財団」を訪問しました。日本においてはまだまだ地域や社会を支える団体への支援や施設の運営を行政が担う部分が大きい一方、ダビューク市のような地方都市においても、コミュニティ財団がしっかりと活動の拠点を持ち、多くの活動を支えていました。支援にあたっては情熱だけでなく成果やデータを重視し、対話を通じて「一緒に育てる」姿勢を貫いている点も、藤井市長には特に印象的だったといいます。(写真:CEO ナンシー・ヴァン・ミリゲン氏(左隣)のほか関係者)

市議会の傍聴 開かれた市民参加の場

fujii-dubuque-visit-6滞在中、藤井市長はダビューク市議会の傍聴も行いました。市民が自由に登壇して意見や質問を投げかけ、その場で議員や市長が質疑応答・採決を行うオープンな形式は、計画の決定や進捗を公開の場で示す仕組みとして、市民参加型の自治を重視する美濃加茂市にとっても参考となるものでした。(写真:ブラッド・キャバナダビューク市長)

今回の視察を振り返って

今回の視察について、藤井市長は次のように述べています。

「美濃加茂市と同じような規模や環境において、『衰退からの再生』という実践知を持つダビューク市から、多くのことを学びました。首長や政治体制が変わっても最優先政策として維持し続ける一貫した政策フレームワーク、理念と実際の予算配分が明確に結びついているこの構造は、本市の政策立案においても大いに参考にしたいと考えています。市民が自由に登壇して意見や質問を投げかけられるオープンな議会運営のあり方も含め、これらを美濃加茂市の取り組みに活かしていきたいと考えています。」

「若手首長賞」は、米日財団が2025年に創設し、公務においてビジョン、誠実さ、革新性を発揮している45歳未満の日本の首長を顕彰するものです。2026年度の応募受付は2026年9月1日(火)に開始します。本賞の詳細については、https://www.us-jf.org/ja/young-mayors-awardをご参照ください。ご不明点は、米日財団(info@us-jf.org)までお問い合わせください。

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