米日財団ではこのたび、当財団の新たな日本代表である岡部晴人氏による挑戦的かつ刺激的な論考を、読者の皆さまにご紹介できることを嬉しく思います。国際的なフィランソロピー専門誌『Alliance magazine』のご厚意により、本記事を米日財団ネットワーク限定で無料公開する特別な許可を頂きました。全文(英文)はこちらからお読みいただけます。『Alliance』誌は、「世界のフィランソロピーとソーシャルインベストメントのために」をテーマに、世界中の重要な論考を数多く掲載しています。ぜひ他の記事もご覧ください。また、今回のご紹介にあたり、どなたでもご利用いただける割引コードもご提供いただきました。購読の際に 「HARUTO30」 を入力いただくと、30%オフでご購読いただけます。

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以下は岡部氏によるエッセイの一部抜粋です。日本における寄付・フィランソロピーの発展を阻む構造的・文化的要因を読み解きながら、議論の再構築を促す力強いメッセージが込められています。

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日本のフィランソロピーは立ち遅れている。巻き返すチャンスはあるのか?

日本は世界第4位の経済大国でありながら、世界寄付指数では142か国中141位とほぼ最下位です。なぜでしょうか?日本のフィランソロピーは、長い間金額においても質においても大きな成長を見せていません。そんな停滞の一方で、子どもの貧困やジェンダー格差、地方の過疎化、環境問題など、多くの社会課題は解決されないまま、むしろ悪化し続けています。こうした低調な寄付の背景としてよく挙げられるのが、文化的・宗教的な要因です。例えば、教会に対して支払う十分の一献金のような慣習もなく、社会に根づく世俗的(非宗教的)な価値観を持つことが、日本におけるフィランソロピーの広がりを妨げているという見方です。しかし、それだけで本当に十分な説明になるのでしょうか?文化的な背景だけでなく、政策設計や制度の不足、セクター全体の構造的な問題といった、より本質的な障壁が存在する可能性はないのでしょうか。私たちは今こそ問うべきです──日本の寄付の停滞は、本当に文化だけの問題なのか。それとも、変えうる仕組みの問題なのか、と。


岡部晴人(おかべ・はると)について

米日財団日本代表として、岡部氏は財団の新しい日本戦略を牽引し、日本のソーシャルインパクト・エコシステムの強化と日米の連携深化に取り組んでいます。岡部氏の詳細なプロフィールはこちらをご覧ください。

関連シリーズ「トレンドと変革者たち」

今回の寄稿記事は、米日財団の連載シリーズ「トレンドと変革者たち」で取り上げているテーマとも深く関連しています。同シリーズでは、日米の非営利セクターにおける主要な動向や先進的な取り組みを取り上げ、構造的課題、信頼に基づく助成、企業連携などをテーマに、変化をもたらす実践知をお届けしています。シリーズの詳細はこちらからご覧ください。