ドジャースが来日した理由は、今回は「プレイ」だけではありませんでした。2025年のMLB東京シリーズでは、ドジャースが東京ドームでシカゴ・カブスに2連勝しました。しかし、このシリーズの真価はスコアボードにとどまらず、日本全国の子どもたちに向けた善意と支援にも表れています。

ドジャースは米日財団と手を組み、日本各地で素晴らしい活動を展開する青少年支援の非営利団体をサポートする取り組みをスタートしました。これは、地域の専門性と国際的ネットワークを融合させた「コストシェア型の支援モデル」であり、私たちが強く信じるアプローチです。

一度きりの寄付ではなく、よりスマートな支援のかたち

dodgers-usjfこの連携は、スタン・カステン氏(ドジャース社長兼CEO)が今年初めに米日財団の理事に就任してすぐに立ち上がりました。

ドジャースは、単発的な寄付にとどまらず、実績ある日本の草の根非営利団体を米日財団と共に選定し、連携して支援するという方法を選びました。ドジャースと米日財団はそれぞれ10万ドル(約1,430万円)ずつを拠出し、20万ドル(約2,860万円)の共同助成プログラムを実施。その結果、日本の市民社会を強化し、若者たちがのびのびと成長できる機会を生む、的を絞った支援が実現しました。

米日財団代表理事のジェイコブ・スレシンジャー氏はこう述べています。「ドジャースとの連携は、私たちにとっても非常にエキサイティングな取り組みです。米国の有力な企業や関係者とのネットワークを活かしつつ、日本の非営利団体と深いつながりを持つ私たちだからこそ実現できる形です。スタン氏の理事就任によって、すでに大きな成果が表れています」

米日財団にとって、ドジャースとの連携はミッションを拡張するパワフルな機会でもあります。共同助成により、限られたリソースをより効果的に活用し、日本の市民社会強化に向けた活動を広げることができました。この取り組みは、単なる資金提供ではなく、企業と財団が協力して国境とセクターを越えた社会変革を生み出すモデルでもあります。

ドジャース、大谷翔平、山本由伸、佐々木朗希──フィールド内外での社会貢献

dodgers-foundation-logoドジャースがロサンゼルスの地域社会に深く関わっていることは、広く知られています。コミュニティ・リレーションズ&ガバメント・アフェアーズ部門が中心となり、地域リーダー、行政、団体、選手とその家族と協働して市民活動とフィランソロピーを推進しています。ドジャース財団を通し、これまでに、教育・医療・住宅・社会正義の分野において、6,300万ドル(約90億円)以上の支援を実施してきました。

また、チームに所属する日本人選手たち──大谷翔平、山本由伸、佐々木朗希──も日米両国の子どもたちに向けた活動に積極的に関わっています。

大谷翔平選手は、日本での野球クリニックやワークショップを通じて若手選手を励ますとともに、ロサンゼルスのリトルトーキョーでの地域活性化にも貢献してきました。昨年は、能登半島地震の被災者支援として100万ドル(約1.4億円)、またロサンゼルスでの山火事復興支援として50万ドル(約7,100万円)を寄付しました。

山本由伸選手は、沖縄に深いルーツを持ち、2022年に「宮城ダイヤ基金」を設立。日本の野球少年のメンター支援や、日米ファン同士の文化交流を推進しています。ANAと連携し、野球への愛で知られる沖縄の子どもたちをMLBの試合(ドジャース対カブス戦)に招待する取り組みも行いました。

佐々木朗希選手は、陸前高田出身で、2011年の東日本大震災により父親と祖父母を亡くした経験を持っています。彼は岩手県の山火事支援のために1,000万円以上を寄付し、その活動は国内外で次世代の選手に勇気を与えています。彼らの取り組みには共通する想いがあります──スポーツはつながりと自信、そしてチャンスを生み出す力があるという信念です。

4つの非営利団体 日本の若者を支えるという共通の目標

米日財団は、3月17日に慶應義塾大学にてドジャースとともに授賞式を開催し、この連携を祝いました。米日財団とドジャースが支援する4つの非営利団体は、日本各地で変革をリードしています。米日財団ヴァイス・プレジデント兼マネージング・ディレクターの渡辺知行氏はこう語っています。「ドジャースとの連携は本当に嬉しい機会でした。私たちは日本の非営利団体のことをよく理解しているので、信頼できる優れた団体を特定することは難しくありませんでした。今回の支援によって、彼らが引き続き素晴らしい活動を続けられるよう力になれたことを誇りに思います」


ちゅらゆい(沖縄)
churayui-logoちゅらゆいは、不登校、ひきこもり、貧困などの困難を抱える子ども・若者に安心できる居場所を提供する非営利団体です。家庭と社会をつなぐ架け橋として、彼らが自分らしく過ごし、自分の可能性に出会い、希望ある未来へと進めるよう支援しています。今木ともこ理事は「今回の助成金は、子どもや若者が自由に集い、時には働くこともできる『コミュニティカフェ』の開設に活用させていただく予定です。どの子ども・若者も希望ある人生を歩めるよう、今後も全力で取り組んでまいります」と話しています。なお、ドジャース監督のデーブ・ロバーツ氏は沖縄生まれで、母親が沖縄出身です。昨年のワールドシリーズ優勝後には那覇を訪れ、「自分のルーツの地で、みんなと一緒に祝いたかった」と語っています。

むすびえ(全国)
musubie-logoこども食堂」の支援に取り組むむすびえは、全国に8,000か所以上で必要としている子供に食事、友情、そしてコミュニティを提供しています。彼らの取り組みにはこども食堂の地域ネットワークの支援や、ソーシャルインパクトの創出や調査研究・普及活動に熱心な企業や団体との連携も含まれます。三島理恵理事はこう述べています。「このような心のこもったご支援を受け、子どもたちに『孤独』ではなく『やさしさ』を届け続けるために、全力を尽くしてまいります。このご縁を大切にし、米日財団やドジャースの皆さまと末長い関係を築けることを願っております」

VAMOS TOGETHER(東京)
vamos-together-2元プロ野球選手アレックス・ラミレス氏と妻・美保さんが2020年に設立したVAMOS TOGETHERは、ダウン症や障がいのある子どもたちと、そうでない子どもたちが共に学び、育つことを目指す非営利団体です。子どもたちの自立や個性の発見、将来の可能性の拡大を支援し、家族や地域に笑顔をもたらすと同時に、社会に新たなつながりを生み出しています。


米日カウンシル(東京・米国)
us-japan-council-logoTOMODACHIイニシアチブなどを通じて、次世代リーダーの育成と日米の絆を深める活動を行う米日カウンシルは、今回の助成により、カリフォルニア州アルタディナで若者のレジリエンスやリーダーシップを育む「Kibou for Los Angeles(KLA)」という越境プログラムを展開します。米日カウンシル代表兼CEOのオードリー・ヤマモト氏は、「このたび、米日財団とドジャースとの連携により、悲しみを『再生の力』へと変える機会を得ることができました。アルタディナの若者と、復興を遂げた東北とのつながりをつくることで、癒しと学び、そして未来のリーダー育成につながる大きな可能性が生まれると確信しています」と語っています。特に大谷選手と佐々木選手の東北出身という背景が、この取り組みにより深い意味を与えています。

いずれの団体も、明確なビジョン、深い思いやり、そして革新的なアプローチをもって活動に取り組んでおり、私たちはそのインパクトをさらに広げるお手伝いができることを誇りに思います。

一過性ではなく 未来につながるモデルへ

米日財団は、今回の助成プログラムを一度きりの取り組みとは考えていません。これは、米国の組織がいかに日本と戦略的かつコミュニティ志向で関わっていけるかを示す、持続可能なモデルです。グローバルな支援者と日本のローカルな専門性をつなぐことで、両国の次世代に力を与える新たな架け橋を築いていけると信じています。
ドジャースとのパートナーシップに、そして日々きわめて重要な活動を続ける4つの非営利団体の皆さまに、心より感謝申し上げます。

共に、これからもつくっていきましょう。

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