トレンドと変革者たち

まず必要なのは助成金 それとも他のもの?

2026年9月15日

greater-chicago-food-depository

グレーター・シカゴ・フード・デポジトリーは1979年、青果卸売業者、聖職者、保険代理店員、ソーシャルワーカー、そして他の2人から成る6人のボランティアが、シカゴで飢えに苦しむ人々をより体系的に支援する方法を模索し、幾度となく話し合いを重ねたことから始まりました。スタッフも倉庫も予算もなく、あったのは青果売り場の間借りしたスペースと、共通の信念だけでした。創設者の一人が、シカゴ市からの最初の助成金として47,500ドル(約730万円)の申請書を執筆し、その年の3月に採択されました。「資金は多くありませんでしたが、進んで手を貸してくれる人はたくさんいました」と、創設者のアン・コナー氏は振り返ります。この助成金と、それによって雇用された2人の職員が、現在では全米有数の規模を誇るフードバンクの礎となったのです。

otsuka-club日本のNPO法人大塚クラブも、同じように始まりました。団体としてではなく、聴覚に障害のある子どもたちのための学校に通う生徒たちの学習の遅れを取り戻そうとする、保護者と教師たちの取り組みとしてです。これといった資金もなく、正式な法人格も経理体制もなく、あったのは集まってくる人々だけでした。状況が変わったのは2004年、文部科学省の事業が3年間の放課後支援の助成を提供したものの、対象は法人格を持つ団体に限られていたときでした。法人化を経て得られた助成金により、団体は48人だった生徒数を170人にまで増やすことができました。資金の増加と成長の可能性は歓迎すべきものでしたが、正式な法人化は団体の運営方法を変え、これまで必要としてこなかった水準の組織体制と事務作業をもたらすことにもなりました。

どちらの物語も、資金不足という切実な問題を抱えたインフォーマルな集まりとして始まりました。米国や日本で小規模な非営利団体を運営している方には、聞き覚えのある話かもしれません。資金が有益であることは明らかですが、申請に何週間もかけ、さらにその資金を助成団体のガイドラインの範囲内で厳密に使うことは、必ずしも簡単ではないのです。だからこそ、より難しい問いを立てる価値があります。自分たちの団体は今本当に助成金を必要としているのか、そして、それを最大限に活かす準備ができているのか、という問いです。

「命綱」ではなく「道具」の助成金

pexels-photo-7841798ほとんどの助成プログラムは、一般的な予算の穴埋めのためではなく、特定の期限付きプロジェクトに資金を提供することを目的として設計されています。良くも悪くも、それが実情です。(理想を言えば、使途を限定しない一般運営支援がもっと普及していてもよいはずですが、現実にはそれはあくまで例外です。)申請前に確認すべきことはシンプルです。この資金があれば、今はできていない、具体的に何が可能になるのか、という点です。その問いに明確に答えられない助成金は、たとえ金額が大きくても、追い求めるべき助成金ではないことがほとんどです。

助成対象としての資格要件は、太平洋の両側で構造は異なるものの、いずれも法的地位を軸に決まります。日本では、法人格を持つNPO法人と、法人格を持たない任意団体とでは扱いが大きく異なります。米日財団が支援した日本の非営利セクターの法制度に関する分析によれば、公的補助金の多くは法人格と基本的なガバナンス体制を前提としており、その差は、コロナ禍における持続化給付金が50%以上の売上減少を要件とした際に顕著になりました。この基準は、大きな売上の変動を示しにくい、小規模で無駄のない運営を行う団体にとって、満たすことが難しいものでした。

米国では、財団や政府による助成金のほとんどが、州レベルでの法人設立だけでなく、内国歳入庁(IRS)による連邦の501(c)(3)資格認定を要件としています。小規模団体は簡易版のForm 1023-EZを利用できますが、正式な資格認定には数週間から数か月を要し、さらに約40の州では、団体が合法的に寄付を募る前に登録を義務付けています。米国でよく用いられる手段の一つが、資金スポンサーシップです。既存の501(c)(3)団体が新しい団体に代わって助成金を受け取り、管理することで、自団体のIRS手続きの完了を待たずに、プロジェクトが直ちに助成金に申請できるようになる制度です。いずれの国においても、「アイデアがある」ことと「合法的にこの資金を受け取れる」ことの間には、現実の事務的なハードルが存在します。資格を得ること自体が、資金獲得までに通過すべき単なる形式的手続きではなく、コストを伴う一つの意思決定なのです。

助成金の管理に必要なこと

pexels-photo-6779567採択されてめでたく終わりというわけではありません。助成金には通常、報告義務や資金使途に関する明確な要件が伴い、それらを満たすには、初めて申請する団体が想定以上の時間とスタッフの労力が必要となる場合があります。使途を限定しない資金提供は、多くの文献では論じられていますが、実際の事例は多くありません。全米NPO協議会の報告によれば、米国では非営利団体の4団体に3団体が、政府助成金から実際の間接経費の10%以上を回収できておらず、およそ4団体に1団体は全く回収できていません。しかし、団体の種類を問わず、実際の間接経費は通常25〜35%に上ります。同団体はまた、申請や報告の要件自体が複雑で時間を要するものであると報告しており、これは助成金の一部が、本来の目的であるミッションではなく、コンプライアンス対応に実質的に費やされていることを意味します。ボランティアや少人数のスタッフがこのコストを直接的に引き受けることになり、本来の活動を行う代わりに、夜間や週末を予算項目の解読や費目の調整に費やすことになるのです。

より良い問いとは

コンプライアンス対応の負担に加えて、ミッションが資金の使い方を規定するのではなく、資金がミッションの形を規定してしまうという、より見えにくいリスクもあります。非営利セクターを専門とするジョアニー・トランブレー=ボワール氏の研究によれば、単一の資金提供者への依存度が高いと、どのプログラムが優先されるかに徐々に影響が及ぶ可能性があるとされています。また、悩ましいトレードオフの存在も指摘しています。資金源を多様化することでそのリスクは軽減されますが、より多くの資金提供者に対応することは、より多くの申請と報告を意味し、研究者が「事務的漂流(administrative drift)」と呼ぶ状態と引き換えに、「プログラムの漂流」を回避することになるのです。この緊張関係を完全に回避できる資金調達の仕組みは存在せず、あるのはそれをより誠実に、あるいはそうでない形で管理する方法の違いだけです。

そのため、小規模な非営利団体は、「この助成金を獲得できるか」だけでなく、「この助成金は自団体を強くするのか、それとも負担になるのか」という問いから始めてもよいかもしれません。ある団体にとって、正直な答えは「まだその時ではない」かもしれません。また別の団体にとっては、「はい、ただし規模を抑え、まず基盤を固めることが条件」というものかもしれません。申請書に手を伸ばす前のその一呼吸は、日本と米国、双方の非営利団体が取るべき間なのです。

Icon_Design

非営利団体が学べること

助成金は存続のためではなく、具体的なステップのために活用
申請前に、その資金によって可能になる具体的な活動を明確にしましょう。
資格要件を正直に確認
日本の法人化要件であれ、米国の501(c)(3)資格認定や州の登録規則であれ、アイデアの質よりも先に、法的地位と基本的なガバナンス体制がアクセスの可否を左右することが少なくありません。
プロジェクトだけでなく、コンプライアンス対応の予算も確保
報告業務や間接経費は、初めて申請する団体が想定する以上に助成金を圧迫します。
可能な範囲で資金源を多様化
単一の資金提供者に複数年にわたって依存することは、プログラムの優先順位が徐々に変化しうるため、注意を払う価値があります。
申請前に、自団体が取るべき法的な道筋を把握
法人化、資金スポンサーシップ、州の慈善団体登録のいずれであれ、地位を正式なものにすることこそが真の第一歩となることが多く、それには計画のための時間が必要です。

次回は、あらゆる非営利団体が助成金への申請を検討する前に考慮すべき点に焦点を当てた本稿に続き、助成金申請を成功させるための戦略を取り上げます。米日財団の助成金に関する具体的な資格要件および条件については、当財団の助成金ページ、またはガイドラインページをご覧ください。

 

← トレンドと変革者たちへ戻る

メーリングリストへ登録

Submit Newsletter Form
最新の助成情報、プロジェクト、イベントなどのお知らせをいち早くお届けします。ぜひご登録ください。