文化人類学および日本研究の代表的な学者であるデビッド・H・スレイターが、米日財団のコミュニケーション・マネージャーに就任しました。豊富な学術的専門知識と実務経験を活かし、日米両国における社会貢献分野のリーダー間の連携強化を目指す米日財団のコミュニケーション戦略を統括します。
米日財団の代表理事を務めるジェイコブ・M・シュレシンジャーは、「日本の社会貢献活動網における米国の学者であり、実務家でもある専門家を当財団に迎えることができ、大変嬉しく思います。」と述べており、「デビッドの学術的背景と日本の市民社会への深い関わりは、この分野のリーダーたちとのつながりを深め、当財団の認知度を高める上で理想的な人物であると言えます。疎外されたコミュニティに関する彼の経験と、学術的アプローチと活動家としてのアプローチを結びつける彼の手法は、私たちの社会貢献活動に新たな視点をもたらすでしょう。」と話します。
日本社会と政治に関する研究と著作で広く知られるスレイターは、シカゴ大学で博士号を取得し、上智大学の名誉教授としても務めています。東京大学、早稲田大学、法政大学でも教鞭をとり、コロンビア大学では客員教授を務めた経験も持ちます。主な著書に主な著書に『Social Class in Contemporary Japan: Structures, Sorting and Strategies』(Routledge, 2009)、『Japan Copes with Calamity: Ethnographies of the Earthquake, Tsunami and Nuclear Disaster of March 2011』(Peter Lang, 2013)、最近では『Alternative Politics in Contemporary Japan: New Directions in Social Movements』(University of Hawaii, 2024)などがあります。
スレイターの研究分野は、市民社会、NPO、社会参加に重点を置いた、社会、文化、政治に関する幅広いトピックにわたっています。1990年代の経済不況下の日本の若者文化と労働に焦点を当てた研究から始まり、2011年の東日本大震災以来は東北の被災地支援に深く関わり、被災者の証言を記録した最大のオーラル・ヒストリー・アーカイブを構築。また、日本における移民や難民の支援にも携わっており、研究プロジェクト「Refugee Voices Japan」のディレクターとして、労働力不足や移民政策の改革に直面する日本において、法的支援や擁護活動を行っています。
「米日財団のコミュニケーション・マネージャーに就任できることを光栄に思います。日本社会や政治は、経済の低迷や人口動態の危機に後押しされるように急速に変化しています。市民社会セクターがその先頭に立っています。日米関係を強化する米日財団を通じて、これらの変化を調査し、記録し、支援する機会を得られることは、本当に素晴らしいことです。両国が移民、労働市場、若者のリーダーシップなど、共通の課題に直面している今、当財団の活動は極めて重要であり、このダイナミックなパートナーシップを形作る声やストーリーを広めることを楽しみにしています。」と述べています。
スレイターは、当財団が目標と重点分野を見直す重要な時期に就任します。1980年に設立されたこの組織は、日米間のより緊密な関係を促進することを目的としていましたが、現在は重点分野をシフトしつつあります。日米関係のみを目的とするのではなく、両国、地域、そして世界における共通の課題に対処するために、その友好関係を活用することを目指しています。
過去40年以上にわたり、米日財団は両国において1億ドル以上の助成金を交付し、また、両国にわたる500人以上のフェローのネットワークを構築した日米リーダーシッププログラムも運営しています。
米日財団の活動や取り組みに関する詳細は、https://us-jf.org/ja/をご覧ください。