このワーキングペーパーは、米国と日本の間にある住宅とホームレス問題の顕著な対照を明らかにしています。米国では住宅価格の手頃さが過去最低水準にまで悪化し、それが歴史的なホームレス増加を招いている一方で、日本は先進国の中でも良好な住宅成果を達成してきました。本論考は、柔軟な用途地域制度、建築基準の在り方、強固な借家人保護を組み合わせることで、高密度な都市環境においても住宅価格の手頃さを維持できることを、日本の事例を通じて示しています。さらに、土地利用政策の簡素化、個人による賃貸投資へのインセンティブ設計、公的給付の受給資格の自動化など、米国の政策担当者にとって応用可能な具体的教訓が提示されています。本論考の執筆に至る背景となった対話や政策的議論を解説した文章も、あわせて公開しています。
ダッタ=グプタ氏は次のように述べています。「日本は、民間住宅供給を大きく支えながら強固な借家人保護を組み合わせることで、米国の都市や州においても住宅価格の手頃さを実現し得る可能性を示す重要な実証例です。私は本論考を通じて、日本の経験を、特に大都市圏に住む借家人や低所得世帯を含む、米国の勤労世帯や中間層が直面する住宅費負担やホームレス問題に対応するための、実践的で応用可能な戦略として整理しました。日本の知見と経験は、より公平で住みやすく、持続可能なコミュニティを目指す米国の住宅政策議論を形づくる上で重要な役割を果たし得ます。」
ダッタ=グプタ氏は、政策分野の専門家であり政治アドバイザーです。自身が設立したBlue Lotus Strategiesを通じて、公平性と繁栄の促進に向けた取り組みを行っています。日米リーダーシップ・プログラム(USJLP)フェロー(2024-2025)であり、現在はマックコート公共政策大学院の客員研究員、National Academy of Social Insuranceのディスティングイッシュト・ビジティング・フェロー、The Policy Academiesのシニア・アドバイザー、Roosevelt Instituteのフェローなどを務めています。これまでに、Center for Law and Social Policy(CLASP)の会長兼エグゼクティブ・ディレクターを歴任し、Georgetown Center on Poverty and Inequalityの運営の主導的役割も担いました。経歴や研究活動の詳細は、プロフィールをご覧ください。
本論考は、米日財団リサーチシリーズの一環として公開されたものです。同シリーズは、米日関係をかたちづくる要因について、新たな発想・根拠・視点を探ることを目的に、米日財団が委託した研究成果をまとめたものです。各論文は、米日財団の委託のもとで独立して作成され、多くの場合、USJLPフェローやパートナーとの共同研究によって発展しています。これらの研究は、知的交流を促し、日米両国の関係に関するより深い考察のきっかけを提供することを目指しています。