リッフ氏の報告は、米国の大学における日米関係関連の専門性の減少と、米国にとっての日本の戦略的重要性との間に広がる乖離を浮き彫りにしています。ワシントンでは超党派で「日本は不可欠な同盟国」との認識が共有されている一方で、リッフ氏は、日本の外交・安全保障政策に関する専門教員や講義の提供が「世代的崩壊の瀬戸際にある」と警鐘を鳴らしています。特に、今後の日米関係を理解する人材を育成するために、外部資金による支援を含めた緊急の対応が必要であると訴えています。
「前駐日米国大使ラーム・エマニュエル氏がかつて語ったように、いまこそ米国の大学が『日本および日本研究にさらに注力すべき時』です。私もまったく同感です」とリッフ氏は述べています。「しかし、米国における日本の重要性がこれほど高まっているにもかかわらず、現実にはその逆の流れが長年にわたり続いています。特に中西部の大学や、日本の外交政策および日米同盟の専門性の領域では顕著です。残念ながら、大学だけでこの問題を解決するのは難しい状況です。本稿を通じて、より幅広い日米間の議論を喚起し、この状況をどう克服できるか考えるきっかけになればと願っています。このような機会を与えてくださった米日財団のジェイコブ・スレシンジャー氏と優れたチームに深く感謝します。」
リッフ氏は、インディアナ大学ハミルトン・ルーガー・グローバル国際学学院教授であり、「21世紀日本政治社会イニシアティブ」創設ディレクター。ブルッキングス研究所アジア政策研究センターの非常勤上級研究員でもあり、これまでハーバード大学、ジョージタウン大学、東京大学などで教鞭を執ってきました。詳しい経歴と研究については、こちらのプロフィールをご覧ください。
本論考は、米日財団リサーチシリーズの一環として公開されたものです。同シリーズは、米日関係をかたちづくる要因について、新たな発想・根拠・視点を探ることを目的に、米日財団が委託した研究成果をまとめたものです。各論文は、米日財団の委託のもとで独立して作成され、多くの場合、フェローやパートナーとの共同研究によって発展しています。これらの研究は、知的交流を促し、日米両国の関係に関するより深い考察のきっかけを提供することを目指しています。